ネタバレ必須!イヤミス「殺人鬼フジコの衝動」シリーズを全て読破したので思ったことをつらつらと。
2015/12/14
SPONSORED LINK
Huluオリジナルドラマ「フジコ」を見てからどっぷりフジコの世界にはまっております。ドラマを見てからというもの、ベッドに入って電気を消して寝ようと思うのに、頭の中では「フジコの思い」や「茂子の笑み」がぐるぐると周り、それはそれはもう頭の中がフジコワールドなんですよ。
夜な夜なベッドでフジコについて調べてみると、原作で続編がでているということも知り、翌日に本屋に買いに行ってきました。Kindleで購入しようと思ったんですが、やはり小説は文庫本で読みたい!という私の強い思い(?)があったので。
ということで、思いっきりネタバレですが、フジコシリーズについて思ったことをつらつらと描いていきたいと思います。
殺人鬼フジコの衝動
ドラマを見ていたため、だいたいのあらすじは知っていましたが、やはり原作を読んでから続編を読みたい!ということで、まずは「殺人鬼フジコの衝動」の原作を読むことにしました。
ドラマで衝撃だった早季子のいじめシーンですが、原作では、ドラマよりひどいことをされていました。男子のおもちゃにされていました。なんで「嫌だ」と言わないんだ!なぜ大人に相談しないんだ!という思いが頭の中でぐるぐる回ります。でも自分が小学生の時にこんなことされて、大人に相談できるかなと考えてみるとできない気がしました。
そして少しでも頭の中が整理されるようにと相関図を作ってみました。かなり即席で作ったので、かなり雑な感じですがそこら辺はご愛嬌ということで。
高津区一家殺人事件の生き残りだったフジコ。その後は下田茂子に引き取られて育てられます。「嫌なことは忘れなさい」と呪文のように繰り返す茂子。フジコは茂子の言葉の通り、高津区一家惨殺事件のことはすっぽりと記憶からなくなります。
そんな茂子はカルト宗教であるQ教団の幹部。また教団の仲間である小坂初代と親しくしています。小坂初代の娘は小坂恵美でフジコの同級生。しかしフジコはクラスで飼っていたカナリアの死体をハサミでバラバラにして焼却炉に捨てるところを小坂恵美に見られてしまいます。「先生に一緒に謝りに行こう」という小坂恵美を殺害。「バレなければいいんだよ」と、そこから殺人鬼となっていったフジコ。なんと15人も殺します。
そしてフジコはレコードでバイトしていた大学生裕也と中学生の時から交際がスタートし、高校一年生のときに子どもを妊娠、結婚そして出産します。居心地が悪かった茂子の家を結婚と同時に16歳で飛び出します。裕也はフジコの友達 杏奈と浮気(いや本気か)をしますが、別れを告げられそうになり、安奈を殺害します。その場にいたフジコは更に安奈の首を絞めて完全に殺してしまいます。そして裕也と2人でバラバラに解体して死体を隠します。お互い共通の秘密ができたということもあり結婚生活をスタート。フジコと裕也の間には美波という子どもができます。
結婚当初は裕也の家でお世話になっていましたが、義理父の暴力もあり、家を出て行く事になりました。家賃を払わないといけないことから、フジコは保険のセールスレディとスナックでのバイトで忙しい毎日を送っていました。生活難から自分の身体を売ることもあったようです。そんなフジコが仕事中に旦那の裕也は浮気をしているのを発覚しました。その後、裕也を殺害。娘の美波も育児放棄をして殺してしまいます。ドラマではそこまで細かく描写されていませんでしたが、小説での描写は生々しくてグロいです。
旦那と娘を失ったフジコは整形手術を行い、新しい人生を掴みます。銀座の高級クラブで働きそこで出会った青年実業家と結婚。早季子と美也子を出産します。しかし羽振りがいいのもあっというまに、数年で事業が悪化してしまいます。そこから早季子と美也子への虐待が始まるのです。
給食費も払えない生活が続き、フジコは給食費を集めるために人を殺します。なんとか給食費代を集めて家に帰った時に旦那を殺害。そして現行犯逮捕されました。
大人になった早季子は「殺人鬼フジコの一生」を物語にして、小説家である妹の美也子へ送りつけて自殺しました。それから3年後、美也子は小説を書くために茂子と恵美に話を聞こうとします。しかしその後、美也子の死体の一部が発見され、死亡とみなされました。
ドラマはフジコの親としての愛情が少し感じられましたが、小説では感じられませんでした。ドラマの最後のシーンで美也子とフジコが言い争いをする姿は親子っぽくて温かいものを感じましたが、小説ではそんなシーンはありませんでした。ただ淡々とフジコは人を殺していました。
なんという重たくて暗いお話でしょう。もう書きながらどんだけ「殺」という文字が出てくるんだと書きながら思いました。きっと今までのブログで一番「殺」の文字が多いブログになったと思います。
しかし書かずに入られない、気持ち悪いのにどんどん読み進めてしまうそんな小説だったのです。読み終わった後もフジコが頭から離れません。そして私は続編を読むことにしました。
短編:私は、フジコ。殺人鬼フジコの衝動
「私は、フジコ。殺人鬼フジコの衝動」は、本編の「殺人鬼フジコの衝動」と続編である「インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実」の間の物語です。「私は、フジコ」は、「殺人鬼フジコの衝動」の特別版の付録についてきたものらしいのですが、今はKindleで購入することができます。
物語の主人公は、元アイドルで再現ドラマの女優である「小川ルミ」のお話です。正直、読んでも読まなくても続編を楽しむことができますが、続編を読む前に読むと、さらに物語に深みが出て面白いかと思います。短編なのでサクッと読めてしまいます。
続編:インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実
そしていよいよフジコの続編「インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実」です。この物語はフジコが死刑執行された後での話になります。
左耳と左手の指が全てない北野由莉という女性が保護されます。北野由莉の話しによれば、下田茂子の息子である下田健太とその内縁の妻、藤原留美子が7名の男女を団地の一室に集め、凄惨なリンチを受け殺害したといいます。
警察は下田健太と留美子を逮捕。藤原留美子は自首し、容疑を認めました。検察は藤原留美子に無期懲役刑を、下田健太に死刑を求刑。しかし、証拠不十分により下田健太は無罪判決を勝ち取りました。翌日藤原留美子は自殺。下田にマスコミが殺到しましたが下田は姿を消します。
そんな中、下田の母親である茂子がグローブ出版に独占インタビューに応じると連絡が入ります。インタビューの担当になったのは、井崎智彦、村木里佳子、そして下田茂子に直接指名された新進構成作家の吉永サツキです。
3人は、茂子の団地へインタビューに行きますが、指定された時間から5分遅れてしまい、茂子を怒らせてしまいます。そして独占インタビューという話だったにも関わらず、他の出版社やテレビ局G社がいることに気付いた吉永、井崎、村木。翌日の朝、茂子に再び会いに行きますが、あまり詳しい話もできずにインタビューは終了します。
その翌日、取材が中止になっていたことを聞かされず、急いで茂子の家に向かった里佳子。そこから茂子の好意に甘えてずるずると茂子の家の世話になります。数日後、下田健太が茂子の家に帰ってきました。お金がない里佳子をATMまで連れて行くよということで、健太は車に乗せます。そこで里佳子は自分の身の危険を感じます。車の中で犯されたあと、ATMに連れて行ってもらいますが、なぜかその後再び下田健太の車に乗って茂子の家に帰ります。なんでそこで東京に、自分の家に帰らないんだ!?とツッコミを入れたくなりますが、里佳子は健太に従います。
そして、下田健太の無罪が確実になった時、吉永サツキは茂子の家に行きます。下田健太が死刑になるよう、証拠を掴むためです。健太に犯されながら左耳をナイフで切られている里佳子の姿を目の当たりにした吉永サツキは、下田健太を殺害。下田健太を殺害した時にナイフが里佳子の動脈にあたり死亡。そして家に帰ってきた茂子も殺害します。
なんで、吉永サツキが健太と茂子を殺害したのだ!?正義感あふれる人柄だったとしても、人を殺すことなんてできるのだろうか、と疑問を持ちますが、最後にその答えが解明されます。
実は物語のはじめに保護された北野由莉という女性は、「殺人鬼フジコの衝動」に出てきた「高峰美也子」こと「みっちゃん」だったのです。フジコの衝動では、「死体の一部が見つかり」と記載してあり死体は全て見つかっていませんでした。みっちゃんは、左耳と左指を切り取られて、切り取られた部位を捨てられていたんですね。だから死亡扱いになった。
しかし実は何年もの間下田健太に監禁されていたのです。下田健太は「みっちゃん」がお気に入りでした。みっちゃんが逃げ出したら、必ず下田健太は探しに来る、そう思って藤原留美子はみっちゃんに「北野由莉」として逃げ出すように指示しました。そしてテレビ局のG社は、みっちゃんを独占取材することを約束に保護しました。そこでみっちゃんに親身になって話を聞いていたのが、吉永サツキだったんですね。
そして茂子と健太が死亡したことによって高峰区一家惨殺事件の本当の犯人も浮き彫りになります。それを語るのは小坂初代。カルト宗教Q教団である下田茂子と小坂初代は、上下関係がはっきりしていました。Q教団では上の者のいうことは必ず聞かないといけないという教えがあり、小坂初代は下田茂子の言いなりでした。
話は遡り、茂子には姉である森沢慶子がいました。慶子はとても美しく頭もよく皆の人気者でした。そして結婚後資産家の嫁になりシンデレラストーリーのような幸せな生活を行う予定だった慶子ですが、資産家との間に子どもができませんでした。子どもができなかったため、茂子の娘を養女にしました。そう、実はフジコは茂子の娘だったのです。分かりやすく続編での相関図を書いてみたいと思います。
慶子はフジコに「あんたは母親似だから」と言います。それは自分のことではなく茂子のことを指していたんですね。驚きでした。そして慶子は実子である森沢沙織を溺愛します。それはもう誰が見ても分かるように贔屓をするんです。
慶子の旦那である森沢遼一はいわゆるプレイボーイで、いろんな女性と浮気していました。化粧品セールスを行っている小坂初代とも良い仲になってしまいます。それを知った慶子は遼一と喧嘩になります。苛ついていた慶子はフジコにも罵倒します。今までの積もりに積もった我慢が爆発してフジコは森沢遼一、森沢慶子、森沢沙織を殺害します。
そこへ浮気したことを謝罪しに来た小坂初代と下田茂子は、警察に見つからないように死体をばらばらにしましょうと、フジコをかばいます。しかし時間がなく、死体を隠せなかった。フジコから容疑を外すために、茂子はフジコの首をナイフで切ります。
そう、茂子は自分の娘であるフジコを守るために、自分の実姉の家族の遺体をバラバラにしようとしていたんですね。なんという恐ろしいことでしょう。下田健太がみっちゃんを監禁していることに気付いた時も、茂子は健太が捕まらないようにと団地の一室を与えました。
茂子の実子であるフジコと健太はふたりとも殺人犯になってしまったんです。しかもかなり濃い殺人犯です。これは血のせいだということで片付けられるのでしょうか。茂子が高峰区一家惨殺事件の時に直ぐに警察を呼んでいたら、フジコは18人も殺さなかったかもしれない。茂子が健太にも愛を注いでいれば、みっちゃんが監禁されていた時に直ぐに警察を呼んでいたら、健太が監禁殺人事件を起こさなかったかもしれない。全ては「たら」「れば」の話になりますが。
そして茂子の血が流れている中で唯一の生き残りである「高峰美也子」こと「みっちゃん」。親身になって話を聞いてくれた「吉永サツキ」を洗脳していたのではないでしょうか。吉永サツキを洗脳し、自分の実の祖母である下田茂子と叔父である下田健太を殺させたのかもしれません。自分にこれ以上危険が及ばないように。
まだ続編を出すことも可能そうな「インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実」、でも「殺人鬼フジコの衝動」を読み終えた後の気持ち悪さはそこまでなく、下田茂子と健太親子がいなくなって、少しだけ恐怖が軽減しました。
自分の娘や息子が悪いことをしたら、きちんと警察に届けないといけない。「バレなければいい」という考えでは結局悲しい殺人犯しか生み出さない、というような裏メッセージが込められているような気がしました。子どもには愛情をたっぷり与えて元気に育ってもらいたいものです。
最後に
小説を読んだ後の興奮を抑えるためにブログを更新したのでした。本当に一気に読みました。殺人鬼フジコシリーズ、真梨さんは本当に天才的な作家さんだなと思いました。
気持ち悪いのにぐんぐん読んでしまうこの気持ち、昔どこかで感じたことあるなーと思い返してみると重松さんの「疾走」という小説を読んだ時と同じだなと思いました。
重くて怖い本を読んだ後は明るい本が読みたくなります。ということでギャグ漫画でも読んで気持ちをリフレッシュしたいと思います。
SPONSORED LINK
関連記事
-
DMM.comのレンタルコミックが素晴らしい。
SPONSORED LINK こんばんは。金曜日の夜です。南野トマトです。 今週 …