【小説書いてみた】とある朝のできごと。その2
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少し不安な気持ちになりながらも私は会社へ行く準備を始めた。新入社員として入社したのが半年前、ようやく仕事にも慣れてた。
「おはようございます」
オフィスに入って挨拶をすると、隣の席に座っている徳井さんが私に話しかけてきた。
「おはよう。なんか顔色が悪いけど寝不足?」
徳井さんが心配そうに言った。
「ありがとうございます。大丈夫です。」
私は徳井さんに笑顔を向けた。本当は今朝の不思議な話をしたかったのだけど余計な心配をかけたくなかったのだ。
私は彼が好きだった。
徳井さんは私の6つ年上の先輩で、淡々と仕事をする姿がかっこよくて気づいたら目で追ってしまうようになっていた。
目が合うだけでドキドキする。
好きという気持ちが今にも溢れそうになってしまう。
だけど、会社にも他の社員にも信用されていた徳井さんは、私のことなんて興味のない存在だろうと思い、好きという気持ちを伝えることは出来なかった。
その日は徳井さんに話しかけてもらえたからとても楽しい気分で仕事を進めることができた。
仕事が終わってマンションに帰ると深呼吸して玄関の鍵が開いていないかをチェックした。
どうやら鍵は開いていないようだ。
ほっと胸をなでおろすと玄関のドアを開けた。キッチンも朝の状態のままになっているし変化はない。
今朝の出来事は私が寝ぼけてコーヒーを淹れてしまったのかもしれない。もし誰かが私の部屋に入ってきていたのなら、私の留守の間に部屋を荒らしているはずだ。
そう思うと心が楽になった。
部屋着に着替えるといつものようにご飯を作り始めた。 最近料理に凝っていて、毎晩のご飯は自分で作っているのだ。
ご飯ができると、すぐにパソコンを開く。
最近はfacebookというソーシャルネットワークで遊ぶのが私の日課になっている。 実家が都心から離れているため、地元の友だちとの交流を取るのに最適だったのだ。
ご飯を作ると写真を撮ってfacebookにアップする。友達から「いいね」とボタンを押してもらえるのが嬉しいのだ。
”今日は照り焼き作った(*´∀`)”
写真付きでUPすると次々とコメントが付いた。
”うわー!美味しそうだね!”
”なかなかやるな”
そんなコメントが付くたびに、嬉しくなる。毎日の楽しみは徳井さんと話すこととfacebookで遊ぶことだけだったのだ。
その3に続く。
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